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最高裁判所第三小法廷 昭和36年(あ)2902号 決定 1964年3月31日

会社員

本多静夫

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人大橋茹の上告趣意第一点は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて刑訴四〇五条の上告理由に当らない。(なお、刑法九六条ノ二にいわゆる財産の隠匿には、財産の所有関係を不明にする行為をも包含するものと解するのが相当であるから、本件において、被告人が、債務者浅田英一等と共謀のうえ、仮装の競売手続により、右債務者の所有物件があたかも仮装の競落人である吉田力松の所有に帰したかの如く偽つた行為を、財産の隠匿に当るとした原判決の判断は正当である。)

同第二点および弁護人井田英彦の上告趣意は、いずれも量刑不当の主張であつて刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。(裁判長裁判官田中二郎 裁判官石坂修一 横田正俊 柏原語六)

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